Ginza Rapport (銀座ラポール) の日記
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ラポールとは「信頼関係をスムーズに築く」スキルと実践的方法を解説!
2022.04.26
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ビジネスにおいて、職場での人間関係や顧客との関係性など、良好な関係を構築することは非常に大切になっています。心理学用語の一つである「ラポール」は、ビジネスでも注目されている考え方です。この記事では、ラポールの概要から形成するための手法、注意点、効果まで詳しく解説します。
ラポールとは、フランス語で「橋を架ける」という意味があり、主にセラピーや心理学で使われています。「調和した関係」などの意味合いを持ち、セラピストとクライエントの間に橋が架かるように信頼関係やリラックスできる関係のことです。
ラポールは、さまざまなシーンで必要なもので、身近なところでも知らず知らずに形成しています。親子関係や友人関係もラポールのひとつで、円滑な関係を築くためには欠かせません。
ビジネスにおいてもラポールは重要な考え方であり、さまざまな効果をもたらします。上司と部下、企業と顧客、企業と企業などでラポールが形成されていると、コミュニケーションが円滑になったり、信頼関係が強くなったりするなど、ビジネスの成果アップや職場環境の改善などを期待できるでしょう。
ラポールを形成するためには、いくつかの手法があります。それぞれの方法や特徴を理解して、最適な手法を活用しましょう。
ミラーリング
ラポールを形成するために、最もポピュラーな手法がミラーリングです。ミラーリングの「ミラー」は鏡であり、鏡写しのように相手の動作を真似することで、ラポールの形成を図ります。
自分と同じ動作を取っている人を見ると、親近感を感じた経験が多くの人にあるのではないでしょうか。その人に対して好意や共通点を感じるとともに、無意識に自分もその人の動作に似てくるのがミラーリングの効果です。相手との距離を縮めるきっかけになり、ラポール形成につながります。
具体的には、相手が飲み物を飲んだら自分も飲む、脚を組んだら自分も組む、腕を組んだら自分も腕を組むなどです。動作を観察して、不自然にならないようにさりげなく真似しましょう。
ペーシング
相手の動作を真似するミラーリングに対して、ペーシングは相手のペースに合わせるのが特徴です。話すスピードや声のトーンなどを合わせることによって、相手の共感を得やすくなり、円滑なコミュニケーションを取ることができます。
例えば、相手がゆっくり話す人であれば、自分もゆっくりしたペースで話しましょう。トーンは、話題の温度感に合わせるのがポイントで、明るい話であれば明るく反応すると効果が出やすくなります。
ペースがマッチすることで、自分を理解してくれている、この人とはとても話しやすいといった思いが芽生え、ラポールを形成しやすくなるのです。
マッチング
マッチングは、聴覚に注目したラポール形成の手法です。話すテンポや声の強弱、トーンの高低、呼吸のタイミングなど聴覚で感じる部分を合わせることで、話しやすさや心地よさを感じさせられます。
ペーシングと似ていますが、より言動を意識するのがポイントです。相手の話し方やトーンをじっくり観察して、同じリズムで会話してみましょう。
キャリブレーション
キャリブレーションは、相手の心理状態を把握する手法です。日常的にも使っている技術で、相手の感情を予想して言葉を選んだり、声のトーンを調整したりするのもキャリブレーションに含まれます。
例えば、相手が納得していないにも関わらず、たたみかけるように説明しても、上手く伝わりません。
そこでキャリブレーションでは、まず相手の心理状態に注目します。表情や態度などを観察し、腑に落ちていない様子であれば、質問がないか一度尋ねたり、要点を端的に伝えたりして、コミュニケーションの取り方を変えるのがポイントです。
自分の感情に合ったコミュニケーションをしてくれることは、相手にとって共感や理解を感じさせ、ラポールの形成につながります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、「オウム返し」と表現されることもあるラポール形成の手法のひとつです。相手が言った言葉をそのまま返すことによって、相手は安心感や信頼感を得られます。心理療法でも使われており、医療はもちろん、上司と部下、企業と顧客とのラポール形成にも有効です。
バックトラッキングでは、相手の言葉を使うことを意識しましょう。自分の言葉を入れると、バックトラッキングの効果が弱まります。具体的には、「残念でした」に対して「残念でしたね」、「成功しました」に対して「成功したんですね」と返すのがポイントです。
このとき、「残念でした」に対して「それは悔しいですね」と言葉を変えると、違う意味合いで捉えられ、共感を得られない可能性があります。
ラポール形成を目指す際、やみくもに手法を実践したり、相手を尊重しなかったりすると、かえって関係を悪化させる可能性があります。ここでは、3つの注意点を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
相手を否定しない
ラポール形成は、相手に共感すること、理解を示すことが重要です。そのため、相手の言葉に対して、「でも」「それは違うと思います」など否定する言葉を使ってしまうと、心が離れてしまいます。
自分と考えが違う場合でも、まずは相手を肯定し、理解していることを伝えましょう。肯定していきながら、考えを擦り合わせていき、信頼関係を築くのがポイントです。
過度な手法は逆効果
ミラーリングやペーシングなどの手法は、やりすぎると不信感を与える可能性が高いです。しぐさや言葉を必要以上に真似されていると、真似に気づき、「どうして真似しているのだろう」と疑われるでしょう。
安心感や信頼感が芽生えにくくなるので、適度に活用することが大切です。相手を理解したい、相手と良好な関係をつくりたいという思いを前提に置き、心地よいコミュニケーションの中で手法を取り入れましょう。
相手をよく見る
ラポール形成の手法を実践するためには、相手をよく観察しましょう。相手の心理がわからないまま、手法を使っても上手く効果を感じられず、かえって逆効果になる可能性もあります。
相手の動作や表情、声の印象などから心理状態を観察すると、適切な手法を選んだり、相手に合うコミュニケーションがわかったりするでしょう。いきなりラポールを築こうとせず、相手がどのような人か観察するところから始めるのがポイントです
ラポールはさまざまな分野・シーンで重要とされており、ビジネスシーンにおいても様々な効果を期待できます。ここでは、主な効果を5つチェックしていきましょう。
円滑なコミュニケーションをとれる
信頼感が生まれる
説得力が増す
成果につながる
心理的安全性が高まる
円滑なコミュニケーションをとれる
ラポールが形成された状態では、円滑なコミュニケーションを取りやすくなります。信頼感や安心感があるため、相手を理解した上で会話を進められるからです。
相手がどのようなペースで話すのか、どのタイミングで相槌を打つのかなどをある程度知っているため、気持ちよくコミュニケーションを取れます。また、お互いのペースで話せることによって、伝えたいことをしっかり話すことができ、生産的な会話にもなりやすいです。
ラポールが形成されていない場合は、話の途中で割り込んでしまったり、否定したりしてしまい、会話が上手く進まないケースがあります。
信頼感が生まれる
ラポールが形成されると、相手に対しての信頼感が生まれます。部下や同僚、取引先、顧客などからの信頼は、モチベーションや安定感につながります。
ラポールが築かれた相手との会話はスムーズに進みやすく、人間関係が構築されたり、気持ちの良い取引ができたりするなど、良い効果が多いです。
説得力が増す
ラポールが形成されている人とそうではない人では、話の説得力が異なります。信頼している人からの話には耳を傾けやすく、説明の安心感があるのが特徴です。
一方、ラポールが形成されていない場合は、信頼できる人物か、話に信憑性があるかなどを考える段階から始まるため、すぐに説得力を感じるのは難しくなります。
部下に円滑な指示をしたい、顧客と良好な関係をつくりたいというときは、まずはラポールを形成することが大切です。
成果につながる
商品・サービスのユーザーやクライエントとのラポールは、個人や企業の成果につながります。信頼関係が築かれていると、商品のリピートやサービスの継続などを期待でき、成約率やリピート率、売上がアップするでしょう。
そうするためには、ラポールを形成することが必要です。顧客とのコミュニケーションに注意を払い、信頼感や安定感を与えることによって、ラポールが形成され、成果にも良い影響が現れるでしょう。
心理的安全性が高まる
ラポール形成によって、心理的安全性が高まる効果を期待できます。心理的安全性とは、自分の考えや感情を安心して発言できる状態のことです。
心理的安全性が確保するためには、互いの信頼関係が必要になります。これが高まっている環境では、「わからないことでも聞いていい」「間違っても話してもいい」という感覚が芽生え、気軽に発言することが可能です。
新しいアイディアが生まれたり、社員同士のコミュニケーションが活発になったりするなど、さまざまな効果を得られます。
まとめ
ラポールとは、さまざまな人との間の信頼関係であり、形成することによって信頼感や説得力が生まれたり、心理的安全性が高まったりするなどの効果があります。
ラポールを形成するためには、ミラーリングやペーシングなどの手法が効果的です。ただし、むやみに活用するとかえって信頼関係が崩れるケースもあります。よく相手を観察した上で適切な手法を選び、ラポールの形成に取り組みましょう。